奈良県農協・中出篤伸会長の辞職を求める会の結成総会(9月10日)奈良県農協・中出篤伸会長の辞職を求める会の結成総会(9月10日)。この12日後に中出氏は辞意を表明した Photo by Takeshi Kubota

インサイダー取引を行った事実を認めながら、農協会長の座に居座っていたJAならけんの中出篤伸氏が正式に辞意を表明した。だが、来年9月まで経営トップの座に残留することや、院政を敷く動きを見せていることに組織内外から強い反発が起きている。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

85歳に会長代行を打診で
後継者育成計画の不備が露呈

 JAならけん会長の中出篤伸氏の身の処し方は、どこまでも往生際が悪いと言わざるを得ない。

 中出氏は、JA全農の役員の地位を乱用してインサイダー取引を行っていたことをダイヤモンド編集部が報じてから3カ月以上にわたって農協会長の座に居座り続けた。結局、9月22日に辞意を表明したが、JAならけん会長を退任するのは半年後の2023年3月末で、しかも、経営管理委員(株式会社の取締役に相当)を辞職するかどうかについては明らかにしていない。

 次ページでは、中出氏の6カ月間の残留がもたらす経営の混乱を明らかにする。