コメの産地偽装などの不祥事で信用が失墜し、再出発をしていたJA高知県で、新たな問題が持ち上がった。マネジメントの模範を示すべき人事部長が、パワハラが疑われる行為を繰り返し、部下5人が退職に至ったのだ。特集『JAと郵政 昭和巨大組織の病根』(全15回)の#4では、なかなか根治しない、JA高知県の組織風土の病に迫る。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
不祥事続出後の反省を生かせず
隠蔽体質を温存した農協の闇
JA高知県は2021年、「不祥事のデパート」状態となっていた。コメの産地偽装や賞味期限が切れた原料による加工品の製造、職員による横領や詐取といった不祥事が次々と発覚したからだ。
22年2月には高知県が同農協に対して業務改善命令を出す事態となった。それとほぼ同時期に、JA高知県の第三者委員会が不正の原因を究明する報告書を発表し、問題を総括。同農協は4月からの新年度において、信頼回復に向けて再スタートを切ったはずだった。
ところが、だ。JA高知県の組織の“病”は治るどころか、悪化していたようだ。
よりによって、部下のマネジメントで率先垂範するべき人事部長と同部の課長がパワハラが疑われる行為を繰り返し、5人もの職員を退職に追い込んでいたことが発覚したのだ。
しかも、JA高知県は再スタートを切った直後の5月、部長と課長の行為をパワハラとは認定せず、処分を行わないことを決めた。
次ページではパワハラが疑われる行為の具体的な内容と、JA高知県が両者の責任を不問にした驚愕の理由を明らかにする。