収入は上がらず物価は上がる…すると、対抗策として手持ちの物を売ってお金に換えようとする動きが出てくるものだ。コロナ禍の生活で在宅時間が増え、家を整理したついでに不用品を売った人は多いのではないか。売るだけでなく、買うシーンでも割安なリユース品で構わないという意識も高まっている。コロナ禍と物価高、そして世界的なインフレのため、「中古」に光が当たっているのだ。売る側と買う側。両者をつなぐ価値は「リセールバリュー(再販売価格)」だ。お金をムダにしないためにも、この言葉を頭に入れて置く必要がある。(消費経済ジャーナリスト 松崎のり子)
メルカリでも「物価高」、資産価値を意識
フリマアプリ「メルカリ」で取引される商品の取引価格と流通数量の変動状況を示した「メルカリ物価・数量指数」によると、前年同月比で見ると取引価格が上がっているカテゴリーが増えているという。特に注目されたのは「スマートフォン」で、取引価格は2018年から右肩上がり。今年8月には、前年に比べ126%も上がったという。物価上昇の波は、新品のみならず中古品にも及んでいるのだ。
これまで、多くの人が日常生活の中で中古品を買う大きな理由は「新品より安いから」だった。
ただ、中古品には二つの面がある。一つは、今言ったバリュー、つまり“安く買うための中古品”。もう一つがプライム、つまり“資産価値や値上がり期待をする中古品”だ。
先に挙げたスマホ、特にiPhoneは後者に当たる。半導体不足の影響などで、中古の価格が一時的に新品を上回ったと聞くほどだ。今後、インフレ経済になれば、理屈では現金よりも物の価値が上がっていく。今後は、物を買うときに値段が下がらない(リセールバリュー)、あるいは上昇していく物を見極める視点も必要になってくるだろう。
物を購入するかしないかという判断するための価値観が変わりつつあるということは、節約の方法も大きく変わってきそうだ。どういうことか。