コロナ禍だけでなく、円安や資材高の影響も相まって、多くの業界や企業のビジネスは混乱状態にある。その状況下でも、苦境を打破できた企業とそうでない企業との間で勝敗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は第一生命ホールディングス、かんぽ生命保険、T&Dホールディングスの「生命保険」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)
第一生命・T&Dが2桁増収の裏で
かんぽ生命は「13四半期連続減収」
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の生命保険業界の3社。対象期間は22年2~6月の四半期(3社いずれも22年4~6月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・第一生命ホールディングス
増収率:47.4%(四半期の経常収益2兆8677億円)
・かんぽ生命保険
増収率:マイナス3.4%(四半期の経常収益1兆6089億円)
・T&Dホールディングス
増収率:32.0%(四半期の経常収益7523億円)
※3社いずれも23年3月期第1四半期から会計方針の変更を行っているが、当社の開示方法に準じて遡及適用していない。
生命保険業界の3社では、第一生命ホールディングスが5割弱、T&Dホールディングスが3割超と驚異的な四半期増収率を記録した。その一方で、かんぽ生命保険は減収となり、業界内で「格差」が鮮明になっている。
前四半期の記事でも解説した通り、かんぽ生命保険が最後に四半期増収(前年同期比)を達成したのは19年1~3月期(19年3月期第4四半期)である。その後は今期に至るまで、実に13四半期連続で減収が続いている。
かんぽ生命保険の長期的な不振の背景には、19年に発覚した「保険の不適切販売問題」がある。同社では不祥事の「みそぎ」として同年7月から約2年弱にわたって営業活動を自粛し、21年4月から本格的に再開した。だが、再開から1年以上がたった今も、同社の業績は不祥事発覚前の水準には戻っていない。
苦境が続くかんぽ生命保険を横目に、第一生命ホールディングスとT&Dホールディングスが大幅増収を達成できた要因は何なのか。また、かんぽ生命保険の現状はどうなっているのか。
次ページでは、各社の増収率の時系列推移を紹介するとともに、これら2点について詳しく解説する。