コロナ禍に対する備えの一つとなってきた医療保険。コロナ感染や療養に対しても給付金が支払われるもので、専用の商品の発売や、従来の医療保険をコロナ感染にも対応させるなど、そのラインアップも豊富で人気を集めていた。ところが政府のコロナ対応策の変更により、給付金支払いが大幅に縮小することになったのだ。連載『医療費の裏ワザと落とし穴』の第248回では、契約者にとってはショックが大きいその変更内容と、変更の背景に迫る。(フリーライター 早川幸子)
コロナの感染者数急増で「みなし入院」の
保険金支払いが縮小されることに
9月26日から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する民間の医療保険の給付範囲が縮小された。
日本で、COVID-19の感染拡大が始まった2020年の春以降、生命保険・損害保険各社は、宿泊施設や自宅など、医療機関以外で療養する「みなし入院」に対しても、特例的に入院給付金の支払いを行ってきた。
だが、第7波の爆発的な感染拡大で、入院給付金の請求が急増し、生損保各社の支払いは大きく膨らんでいる。
そこで、国の「Withコロナ」に向けた政策に歩調を合わせて、COVID-19に関する入院給付金の支払い対象を、65歳以上の高齢者や妊婦などに限定することになったのだ。
COVID-19に感染した場合の入院給付金の取り扱いはどのように変わったのか。具体的な見直し内容を確認していこう。
COVID-19の感染拡大で「みなし入院」が
特例的に入院給付金支払いの対象に
一口に「感染症」といっても、その危険度は、エボラ出血熱のように、罹患すると死亡リスクの高いものから、突発性発疹や手足口病のように比較的軽症で済むものまでさまざまだ。
感染力の大きさや、感染による重篤性に応じて、必要な対策を取るために、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」では、それぞれの感染症を1~5類に分類している。そして、国や自治体が講ずるべき措置についても、一定の取り決めがある。
COVID-19が世界を震撼させ始めた2020年1月。感染力の強さや死亡リスクの大きさから、国はCOVID-19を感染症法上の「指定感染症」として対策を取ることを決定。陽性者に対する入院の勧告・措置、感染拡大防止のための就労制限、建物への立ち入り制限、交通の制限など厳しい措置が行える2類以上に分類したのだ。
●民間の医療保険に頼り過ぎず、備えを確実にしよう