7月8日、安倍晋三元首相襲撃事件は中国のメディアでも大きく報じられたが、9月27日に行われた国葬について、中国国内のメディアはそれほど多くを伝えなかった。しかし在日中国人がSNSで、そして中国人ジャーナリストが当日の様子を伝え、背景を解説する動画をアップしたりすると、多くの中国人からさまざまな反応が寄せられた。感嘆、疑問……中国人にとって安倍元首相の国葬は、民主主義や言論の自由を考える大きなきっかけとなったからだ。(日中福祉プランニング代表 王 青)
安倍元首相が亡くなったことを
中国人はどう思っていたのか
9月27日、安倍晋三元首相の国葬が、東京の日本武道館で行われた。安倍元首相は日本の憲政史上最も長く首相を務めた政治家であり、街頭演説中に銃撃されて衝撃的な死を遂げた。しかし、国葬をめぐっては世論が二つに割れた。
世論調査では5割以上の日本国民が国葬に反対していたという。また、首相官邸の近くで男性が焼身自殺を図って反対の意を示すなど、「国葬反対」の抗議活動が繰り広げられていたことは、海外でも大きく報道され話題となった。
7月8日、安倍元首相が銃撃され亡くなったというニュースは、中国でも日本とほぼ同じ時刻に速報された。国営メディアをはじめ各メディアで大々的に報じられ、注目ニュースのランキングを総なめにした。安倍元首相は長い任期中、米日中の外交関係を上手にかじ取りしていたし、日中関係も比較的安定していた。何より中国人にとっては、2020年に新型コロナウイルスの感染拡大が始まった頃、自ら指揮を執って中国にたくさんの支援物資を送ってくれた記憶が鮮明にあるため(中国では多くの人が安倍晋三氏が自分の給料を削ってコロナ対策のために中国へ支援金を寄付したと信じている)、安倍元首相に対し好印象を持っている人が少なくない。以前、『中国のSNSで「安倍首相の辞任」が驚くほど盛り上がり、好意的な理由』に書いたように、特に海外に暮らす中国人や在日中国人の中には安倍元首相を支持する人が多い。