老後のお金で絶対やってはいけない企業型確定拠出年金「放置」、大損にご注意写真はイメージです Photo:PIXTA

今、転職や退職の際に、必要な手続きをせず、企業型確定拠出年金(企業型DC)の資産を「放置」する人が増えています。放置していてもデメリットしかなく、先延ばしにすればするほど、損をします。一体どんなデメリットがあるのか、そしてどんな手続きをすればいいのか確認してください。(社会保険労務士 井戸美枝)

増え続ける「放置年金」111万人に

 企業型DCは、企業が掛け金を出し、従業員本人が運用を行う制度です。それぞれの企業が独自に行っているため、転職や退職をすると、その企業が運営する企業型DCへの加入資格は失われます。

 その際、必要な手続きをしないまま放置すると、積み立てたお金は国の機関に預けられることになります。これを「自動移管」といいます。

 自動移管された人は、2022年7月末時点で111万人(※1)、移管された資産の合計は、2021年3月末現在で2395億円にも上ります(※2)。

※1 厚生労働省 規約数等の推移
※2 令和2年度 国民年金基金連合会会報業務報告書

 この自動移管はデメリットしかありません。「手続きが面倒で後回しにしていた」「よく分からなくて放置していた」という人も多いのですが、知らないと将来必ず後悔します。

 今後転職や退職をする可能性のある人、既に転職してしまって、手続きを放置していた人でも今すぐ行動すればデメリットを最小限に抑えられます。どんな手続きをすれば解消されるのか解説しましょう。