確定拠出年金で損をしないための、シンプルな方法Photo:PIXTA

年金積立金の運用状況
21年度第一四半期は好調

 つい最近、年金積立金を運用する独立行政法人である、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用する公的年金積立金の2021年度第一四半期の結果が発表になった。これは今年(2021年)の4~6月の3カ月間の結果であるが、期間収益率は+2.68%、収益額は4兆9819億円の増加となっている。

 本コラムでいつも筆者が指摘していることだが、GPIFは年金積立金を恣意(しい)的に運用しているわけではない。現状の基本ポートフォリオ、国内株式、国内債券、外国株式、外国債券という4つの基本的なアセットクラスに25%ずつ分散して投資をしている。そして、ベンチマークとなる指数に連動するようなインデックス運用をおこなっているのだ。

 これについては、人によって様々な意見があるかもしれないが、公的年金の積立額は巨額で、190兆円あまりもあるため、アクティブ運用というのはあまり現実的ではないだろう。それに、これも今まで何度か指摘してきたが、年金積立金は年金支給の原資ではないので、高いパフォーマンスを求めてリスクを取り、積極運用する必要はない。物価・賃金の上昇をある程度上回る利回りが達成できれば十分だ。実際に厚生労働大臣からGPIFに要請されているスプレッド(実質的運用利回り)は1.7%である。

 スプレッドというのは実際の運用利回りから名目賃金上昇率を引いたものを言う。すなわち名目賃金上昇率+1.7%が長期的に達成できれば、年金積立金の運用としては合格と言えるのだ。将来的に年金受給者に給付される場合、問題になるのは物価上昇に対応できるかどうかである。したがって長期的には物価や賃金の上昇以上の運用利回りが達成できれば問題はないと言えるからだ。