世界は危機にひんしている。ウクライナでの戦争は制御不能に陥り、世界に不吉な結果をもたらす可能性がある。イランでは、宗教指導者たちが核兵器製造を急ぐ一方で、政権の残虐行為に対する国内の反対勢力を抑圧している。パキスタンやアフガニスタンからイエメンやシリアに至るまで、テロや理不尽な暴力がはびこっている。歴史の弧は平和と正義に向かっているかもしれないが、容易に危険な方向に進む可能性もある。一部の政策立案者は、歴史を望ましい軌道にとどめる方法はソフトパワーを利用することだと主張している。民主的な価値観と文化の優位性は、暴力と侵略の力に打ち勝つと彼らは主張する。しかし、そのような考え方は歴史の精査に耐えるものではない。悪の勢力が圧倒的な軍事力と経済力を持っている場合、彼らはわれわれの最善の意図を打ち負かすことができるし、またそうするだろう。エイブラハム・リンカーン元米大統領でさえ、「人間の本性の中にあるより良い天使」が勝者となる前に、米史上最も血なまぐさい戦争で決定的な勝利を得る必要があった。