バイデン大統領バイデン政権は、インフレ抑制が最優先課題となる中、ドル高を容認してきたが、米中間選挙後はインフレ対策を重視する世論調査への政治的関心は低下するかもしれない Photo:Anadolu Agency/gettyimages

米中間選挙で米政府は「分断」の見込み
しかしゲームチェンジャーではない

 11月8日に米中間選挙が予定されている。ただ、米中間選挙は通常、米国政治および金融市場のゲームチェンジャーとなりにくい。なぜなら、米中間選挙では、下院の全議席(435議席)、上院(100議席)の約3分の1の議席(今回は35議席)が改選対象となるが、大統領は変わらないためだ。大統領は議会を通過した法案に対し拒否権を有しているため、大統領の政策に反する内容の野党主導の法案は成立しないことになる。

 現時点の米政府は、大統領と上下両院の政党が一致する「統合政府(unified government)」の状態にあるが、今回の米中間選挙で、上院の下院の両方、あるいは上院/下院のいずれかで共和党が過半数の議席を獲得すると、大統領と議会両院、あるいはいずれかの多数派が大統領と異なる政党の「分断政府(divided government)」となる。

 この場合、統合政府と比べて、米国での重要政策の決定が困難となることが、政権運営上の問題となり得る。実際、最近の世論調査や選挙予測機関の予測によれば、共和党が上下両院か、少なくとも下院で過半数議席を獲得する可能性があることが示されている。