「フラグメンテーションの時代」に
必要な外交安全保障戦略
開幕した中国共産党大会で、異例の3期目続投が確実視される習近平総書記は政治報告で欧米と異なる理念や制度に基づく「中国式現代化」に取り組む方針を示した。
台湾についても最大の努力で平和的統一を目指すとしながら、米国を念頭に「決して武力行使の放棄を約束しない」と、強調した。
今後、米中対立は一段と厳しさを増すだろうし、ロシアによるウクライナ侵攻の事態を見ても、今世界で起きている対立は、第2次世界大戦後の「東西冷戦」、冷戦崩壊後の「グローバリゼーション」と並ぶ、おそらく今後何年も続いていく国際関係の基調となるだろう。
私はこの基調を「フラグメンテーション(fragmentation/分断)」の時代と名付けたい。
グローバリゼーションの下で維持されてきた秩序が破られ、細分化し、多くの地域で事態が流動化していく。背景には、圧倒的軍事力を持ち続けている米国の抑止力の目に見える衰退と、軍事的安全保障第一主義の結果としての「経済」の衰退がある。
日本は国際関係のこの新たな基調を理解し、外交や安全保障戦略を構想していくことが重要だ。