中国が新たに打ち出した半導体および関連製品の対中輸出規制は、半導体サプライチェーン(供給網)の重要分野における米国の強みを利用して、中国による先端半導体の開発能力を低下させるのが狙いだ。半導体産業は長らく、供給網の世界的統合の一例となってきた。この業界では研究開発費と設備投資額が急激に増加したことで、各国が製造プロセスのさまざまなステップにそれぞれ特化するようになった。現在、製造プロセスの全工程を手掛けようとする国はない。経営コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーの半導体グループ担当パートナー、アン・ヘッカー氏は「各国の相互依存性は極めて高い」と指摘する。だが、こうした半導体供給網の中で最も重要(かつ最初の)部分、特に高度な研究開発が必要な分野は米国が握っている。米国には、先端半導体の設計大手のほか、半導体製造ソフトウエアや装置製造大手が多数存在する。