うっかりした一言で職場の空気を凍らせてしまった経験は、誰だって一度や二度はあるでしょう。その言葉を受け取った相手の気持ちを想像すれば、もっと別の素敵な言い方があったはず!『上司に信頼される話し方 部下を傷つけない話し方』(ダイヤモンド社)では、対上司、対部下、対同僚、対お客様…それぞれの場面別で話し方の失敗例と成功例を解説しています。コミュニケーションの現場で揉まれてきた元客室乗務員が教える「魔法のフレーズ」集から、すぐに使えるものをピックアップしてお伝えします。コミュニケーションひとつで職場の雰囲気は明るくなり、あなたもきっと信頼される存在になれる!
励ます前に、まず相手の感情に共感する
<NG>そんなことで落ち込まなくていいよ
↓
<GOOD>それは悔しかったね…
人の行動や言葉の奥底には、「気持ち」や「意図」があります。
日常の会話の中で、自分の気持ちや意図を、そのまま言葉にはしないこともあります。
初めて丸一日研修を一人で担当したことがありました。入念に準備をしていたはずなのに、とあるワークで使う道具がカバンに人数分入っていませんでした。忘れてきてしまったのです。慌てて休憩時間に手作りで作成して対応しました。
研修が終わり、「今日こんなことがあったんですが、無事になんとか終わりました」と、私を講師として育成してくださったT先生に、電話したときのことです。その第一声が「わあ、そんなことがあったんですね。それは焦ったんじゃないですか!」と言われたのです。私は、あのときの焦りに共感してくださった、と思いスッキリしたのです。
様々な経験を重ねている上司は、部下が落ち込んでいること自体が、大したことないことに思えることがあります。ついつい「そんなことで落ち込まなくていいよ」と、励ましのつもりで言ってしまうのですが、実際には余計に落ち込みます。部下がどんな気持ちなのか、言葉にしていない気持ちを、精一杯想像してみること、それが「共感する」ということです。
「それは焦ったでしょう」「ずいぶん悩んだんだね」「それは悔しかったね」などのように、気持ちを推測して一言返すと、部下は「わかってくれている」と嬉しくなるものです。
※当記事は、『上司に信頼される話し方 部下を傷つけない話し方』から抜粋・編集したものです。
株式会社Life is Love代表取締役。日本コミュニケーション能力認定協会本部トレーナー/上級トレーナー
大分県出身。1998年、沖縄へ移住。日本トランスオーシャン航空株式会社にて14年間客室乗務員として勤め、安全と顧客満足の追求、そしてチームづくりは人づくりであることを現場で学び・実践。2012年、沖縄では初となる働き方改革コンサルティング会社を設立。「あらゆる多様性を可能性に変える」という理念のもと、組織開発コンサルティングや次世代リーダー育成、チームビルディングなどの実績多数。またダイバーシティや女性活躍推進などの研修も行う。クライアント企業は医療・不動産・観光・製造販売・IT通信・エネルギー・保育・建設など多岐にわたる。企業支援数500社以上。登壇回数は2000回を超える。『上司に信頼される話し方 部下を傷つけない話し方』がデビュー作