年間100回以上、受講者数3万人を教えてきた企業研修や講演の中から、リーダーの悩みをピックアップ。内容によっては、「本当にこんなことが起きているの?」「ウチの会社ではこんなレベルの低いことは起きていないよ」と思うこともあるかもしれません。しかし、これらはすべて、実際に現場のリーダーが抱えている問題なのです。

自分の意識を変えるのでさえ難しいのですから、部下の意識を変えさせるのはもっと難しいもの。そこで、新刊どう伝えればわかってもらえるのか? 部下に届く 言葉がけの正解から、シーン別にNG行動・発言とOK行動・発言を対比させながらどのような言動で接したらいいかを紹介していきます。

photo: Adobe Stock

リーダーの不正解:ただ慰める
リーダーの正解:一緒に悔しがって振り返る

 広告会社の課長職であるリーダーAさんから受けた相談の話です。

 Aさんの部下Cさんは、ある仕事を受注できれば一気に売上目標を達成できるので、コンペの前の1週間は毎日終電で帰るほど、時間をかけて準備していました。

 しかし、残念ながらコンペは負けてしまいました。翌日になっても落ち込んでいました。

 昭和のリーダーだったら、「何くよくよしているんだ」と、次に向かわせようとしますが、人は時間をかけて頑張ったことに対して、割り切るのは難しいものです。

 ただ、「次に向かえ」という言い方では、「失敗したけど頑張った」というプロセスを評価していないからです。

 もちろんプロセスを褒める必要はありませんが、プロセスに対してねぎらうことが必要です。

 リーダーAさんは、
(×)「たまたまタイミングが悪かっただけだろう」
(×)「切り替えて頑張れ」

と励まします。平成型の「慰めて励ます」というやり方です。

 しかし、「元気になるかな」と思いきや、「そうは言いますけど……」と落ち込み続けています。

 人は多くの時間をかけて取り組んだことに失敗すると、費やした時間の分だけ、大きく落ち込む傾向にあります。そのような状況で「気にするな」と言ってしまうと、「この人はわかってないな」という気持ちにさせるだけです。うわべだけの励ましは意味がありません。

…>成功するための具体策を一緒に考える

 では、部下が失敗して落ち込んでしまった場合は、どのような言葉がけをすればいいでしょうか。

 この場合は「頑張っていたのに残念だったな。悔しいな」と部下の気持ちに寄り添った言葉をかけるようにしましょう。

 特にメンタルが弱い人は、「1度の失敗を必要以上に深刻に考えてしまう傾向」があります。

「もうチャンスはもらえないかもしれない」
「俺ってなんてダメなんだ……」

 私自身がかつて大事なプレゼンで失敗したときも、このように落ち込んだことがあります。

 部下が落ち込みから回復するには、結果を出させることです。励ましても、結果が出なければ解決につながりません。次回以降結果を出すために行動していく必要があります。

 部下の気分を落ち着かせた後、「相手はどの部分を求めていたのだろうか。次は結果が出せるように振り返ってみようか」と、言葉をかけるのです。

 そこでその際、過去の経験を踏まえて、Aさんには「KPT」というフレームワークを使ってアドバイスをするように伝えました。

「KPT」とは、「Keep(継続すること)」「Problem(改善すべきこと)」「Try(新たに挑戦すること)」の3つの要素から、次にどう取り組んでいくかを振り返るものです。