ウォール街が静かだ。静か過ぎる。秋は通常、金融活動が最も活発化する時期の一つだが、ここ数週間、新規株式公開(IPO)や債券発行による資金調達、合併・買収(MA)の動きがいずれも低水準に鈍化した。銀行家や投資家、企業法務関係者によると、こうした取引を支える資金の供給が枯渇しつつあり、鈍化は今後も続く可能性が大きいという。市場が失速しているのは、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制のために政策金利を引き上げ、借り入れコストが急騰しているためだ。個人消費はまだ落ち込んでいない。しかし、計10兆ドル(約1460兆円)を超える債務を抱えた米企業が打撃を受けている。こうした債務の多くは、FRBが金利をゼロ近辺に抑えていた過去10年間に積み上がった。