地球を周回する危険なごみの除去は、宇宙でビジネスをしようとする企業が真っ先に取り組むビジネスになるはずだ。ただ問題は、ごみの位置が正確に把握できるかだ。宇宙競争に付き物のごみ問題が深刻さを増している。米政府当局の見通しによると、人工衛星の数は2030年までに現在のほぼ10倍の5万8000基に増え、その多くは寿命が5年をわずかに超える程度だという。宇宙ごみは壊滅的な連鎖反応を引き起こす恐れがあり、宇宙経済に対して大きな脅威となる。モルガン・スタンレーの予測は、この経済が2040年までに1兆ドル(約141兆円)の収益を生み出すとしている。これまでに発生した宇宙ごみの大規模な衝突は3回のみだが、間一髪の事態は珍しくなくなっている。昨年11月にはロシアの対衛星ミサイル実験で残骸が散らばり、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の宇宙飛行士がカプセルへの避難を余儀なくされた。