投資家がインフレを重視するのは至極当然だ。その点では先週、物価上昇率が予想を下回るという朗報がついにもたらされた。その結果、株価と債券価格は大幅高となった。問題は、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ幅が縮小されるという見通しを市場が好感する中、企業利益がより大きなリスクになりつつあることだ。ウォール街のアナリストらは、景気後退(リセッション)期以外では異例のペースで企業利益予想を引き下げている。そしてまだ楽観的なようだ。エコノミストの間では米国の景気後退入りを予想する声が一段と増えているものの、株式などのリスク資産は企業利益に対する重大なリスクをまだ織り込んでいない。S&P500種指数構成企業の12カ月先予想1株利益(EPS)は6月以降に3%余り低下し、来年の予想は同8%低下している。景気後退期以外にこれよりも低下したのは2015年のみで、当時はFRBが9年ぶりの利上げに踏み切ろうとしていた。
投資リスクの主役交代、物価高から企業利益に
FRBの利上げ幅が縮小されるという見通しを市場が好感する中、企業利益がより大きなリスクになりつつある
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