バイデン政権は、米国の核戦力に関する機密扱いでない評価報告書を公表したが、その官僚的な文面には矛盾が埋もれている。中国とロシアが大規模で多様な核兵器を備蓄している一方で、米国はウラジーミル・プーチン氏などのならず者を抑止するのに役立つ可能性のある戦術核ミサイルの保有を拒絶している。2022年の米核兵器戦略の指針「核態勢見直し(NPR)」によると、バイデン政権は海上発射型核搭載巡航ミサイル(SLCM-N)の開発を中止する。同ミサイルは比較的小規模な「戦術」核兵器として計画され、米海軍の艦船や潜水艦からの発射が可能だ。この中止は驚くことではない。米政権は今年の予算案で、同ミサイル向けの支出を計上しなかった。