地方マンションを安易に売買する人の末路、高リスク物件を見抜く方法とはPhoto:PIXTA

地方都市におけるマンションの供給が増え、価格も上昇している。だからといって「今のうちに売買すればもうかる」と判断し、安易に手を出すことは危険である。国土交通省が発表している「不動産価格指数」の信ぴょう性にも疑問符が付き、地方都市における値上がり幅をうのみにするのもリスキーだ。そうした状況下で「買うと損をする物件」を見抜くための計算方法を伝授する。(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)

件数・価格が伸びる地方マンションだが
「高値づかみ」のリスクあり

 地方都市で新築分譲マンションの供給が増えている。ここでいう地方都市とは、首都圏や近畿圏といった都市圏を除いたエリアを指す。

 不動産経済研究所の調べによると、首都圏・近畿圏を除く「その他」エリアにおける新築マンションの供給戸数(2021年時点)は2万4965戸で、前年比プラス42.8%と急増した。

 前年がコロナ禍で販売が難しかったこともあるが、都市圏での伸び(首都圏:前年比+23.5%、近畿圏:同+24.7%)を大きく上回っている。

 価格が高騰している分譲マンションにおいて、都市圏では供給戸数は減少している。首都圏の場合、「分譲価格×供給戸数」の金額は約2兆円で、この7年間で大きな変化はない。

 つまり、都市圏では価格が上がると、買える人が減り、供給が減る構造にある。それに対して、価格を上げながら、供給戸数も増えているのが地方都市の新築マンション市場である。

 しかし、地方都市でマンションを購入することには「高値づかみ」のリスクが懸念される。地方でのマンション購入の前に、そのリスクを知っておいてほしい。

 地方都市におけるマンションの価格変動を分析・予測するのは意外に難しい。なぜなら、過去のサンプルが少なく、エリアが分散しているからだ。

 同じ都市でも立地によって価格は違うものだし、その成約実績が少なくては正確な価格水準の変化を説明しにくいことは想像に難くないだろう。