コロナ禍の収束を待たずに、今度は資源・資材の高騰や円安急進が企業を揺さぶっている。上場100社超、30業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、7~9月度の陸運・物流編だ。
コロナ特需の陸運・物流業界は
引き続き好調維持
陸運・物流の主要4社が発表した7〜9月度の月次業績データは、以下の結果となった。
◯ヤマト運輸(ヤマトホールディングス〈HD〉)の宅配便取り扱い実績
7月度:前年同月比106.8%(6.8%増)
8月度:同107.2%(7.2%増)
9月度:同103.4%(3.4%増)
◯日本通運(NIPPON EXPRESSホールディングス〈HD〉)の国内売上高
7月度:前年同月比115.6%(15.6%増)
8月度:同114.8%(14.8%増)
9月度:同111.8%(11.8%増)
◯佐川急便(SGホールディングス〈HD〉)のデリバリー事業取扱個数
7月度:前年同月比99.6%(0.4%減)
8月度:同103.8%(3.8%増)
9月度:同100.2%(0.2%増)
◯サカイ引越センターの売上高
7月度:前年同月比106.6%(6.6%増)
8月度:同102.4%(2.4%増)
9月度:同103.5%(3.5%増)
2022年7~9月の3カ月の月次業績を見ると、今回取り上げる4社のうち、ヤマト運輸、日本通運、サカイ引越センターが3カ月連続で前年実績を上回っている。唯一、前年実績を下回った佐川急便の7月の実績もマイナス幅は微減に留まっている。
陸運・物流業界は、新型コロナウイルス禍で業績を伸ばした業界の一つだ。後述するが、ヤマト運輸に至っては、宅急便取り扱い実績において「33カ月連続増」と3年弱もの間、前年同月超えを達成している。
本連載では、特にコロナ禍が企業の業績に及ぼしている影響について詳しく分析している。22年7~9月の業績はプラスになっているものの、コロナ前の19年7~9月と比較すると、その水準に戻りきっていない業界は多い。コロナ禍で業績が大きく落ち込んだところからの反動増の影響だ。
ところが陸運・物流は、コロナ前と比較しても業績を伸ばしている数少ない業界の一つだ。現在はどの程度伸びているのか。また、今後の見通しはどうか。詳しく見ていこう。