頑張っているのに成果が出ない。どうすればいいのか、途方にくれる人も少なくないだろう。そんな人におすすめなのが、『1位思考──後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣』。創業9年目で売上300億円にしたアンカー・ジャパンCEOの猿渡歩氏、初の著書だ。猿渡氏は「適度にサボると生産性は上がる」という。27歳入社→33歳アンカーグループ最年少役員→34歳アンカー・ジャパンCEOになった著者が、参入したほぼ全製品カテゴリーでオンラインシェア1位になった秘密は、シンプルな6つの習慣にあった。本書の一部を抜粋しながら急成長の秘密を明らかにしていこう。
参入するかしないか、2つの判断基準
ビジネスで着目すべきは、市場規模と伸び率だ。
1億円のマーケットで50%のシェアを獲得しても売上は5000万円だが、100億円のマーケットで5%のシェアを取れれば売上は5億円にもなる。
USBケーブルには複数の規格があり、規格によって端子の形状が異なる。
私たちは現在、Micro USBケーブルの新製品はつくっていない。
PCやスマホ側の規格が統一され、大半の主力商品がUSB Type-Cに変わった今、急激に縮小しているMicro USBケーブル市場に新商品を投入しても売上拡大は見込めない。
非効率な投資は避け、伸びているところに投資する。
そうすればシェアが同じでも売上は拡大し、シェアが伸びれば売上は一気に増えていく。
合理的な意思決定が重要だ。
「始め方」より難しい「終わり方」
アップルは2022年5月に、iPod touchの販売を終了すると発表した。
2001年に登場したiPodはアップルのシンボルとなったMP3プレーヤーで、デジタル音楽ビジネスに変革をもたらした。
その技術はiPhoneに引き継がれ、アップルはiPhoneに投資を集中することになった。
ビジネスでは新しいことを始める以上に、やめることが難しい。
特に日本では失敗をよしとしない文化が残っているため、その傾向が強い。
撤退基準がはっきりしているほうが、実は新規事業が進めやすい。
人やお金のリソースは有限だから、やめないと始められない。
「コンコルドの誤謬」に学べ
でも、そこに気がつき、判断するのは簡単ではない。
「コンコルドの誤謬」というように、多大な投資のために失敗を許容してしまうこともある。
長い開発期間をかけてつくったから、なんとかして売りたいと考える。
だが、それはお客様が判断すること。
そもそも製品がよくないから受け入れられないことも多い。
アマゾンのレビュー評価が平均3しかないのに、無理矢理宣伝してもお客様のためにならない。
それより売れている製品のカラーバリエーションを増やしたり、上位モデルをつくったりしたほうが合理的だ。
アップルは革新的な製品をつくっていることが目につきやすいが、iPhoneの多くは売れているからこそ毎年アップグレードでき、カラーバリエーションやサイズを増やしつつ売上を伸ばしている。
(本稿は『1位思考』の一部を抜粋・編集したものです)