独自進化を遂げる日本のカヌレ、
変わり種の「カヌレ風」おやつも人気

 カヌレの第1次ブームと第2次ブームの大きな違いは、「進化型カヌレの登場」にあります。1990年当時、日本人のほとんどはカヌレというお菓子を知りませんでした。そのため、第1次ブームの頃は、フランス生まれのスタンダードなカヌレをできるだけ忠実に再現したオーソドックスな商品が数多く販売されていました。第1次ブームのおかげで、多くの日本人が「カヌレとはどのようなものなのか」を知ったのです。

 一方、今回の第2次ブームでは、日本独自のアレンジ(後述)を加えた「進化型カヌレ」が登場しています。これによって、第1次ブームの頃にカヌレを知った中高年層には懐かしさと新鮮さを、カヌレを知らない人には目新しさを感じさせ、老若男女多くの人に愛されるスイーツとなっています。

 実は2022年に入ってから、日本国内の大手コンビニがこぞってカヌレを販売し始めています。今年の新商品だけを見ても、下記のようなラインアップです。

・セブン-イレブン「生食感カヌレ」
・ローソン「半熟風カヌレ」「濃密カヌレ」
・ローソン100「カヌレ(カスタードクリーム入り)」
・ファミリーマート「生カヌレケーキ」
・ミニストップ「生カヌレ」

 生カヌレや半熟風カヌレ、カヌレケーキなど、「カヌレにアレンジを加えた商品」が数多くラインアップされています。カヌレの認知度が高まり、各社が差別化をはかるために、独自の戦略を展開しているのです。

写真:ミニストップ「もっちりしっとり生カヌレ」とローソン「濃密カヌレ」ミニストップ「もっちりしっとり生カヌレ」(左)とローソン「濃密カヌレ」(右)。どちらも2022年発売でネットで非常に話題になった商品だ。ローソンがクラシックなカヌレの形状なのに対し、ミニストップのカヌレは上にホイップした生クリームを載せてアレンジしている(写真はいずれもプレスリリースより)

「アレンジを加えたカヌレ」が続々と商品化されるなかには、「カヌレ風おやつ」のような変わり種もあります。

 UHA味覚糖では、2022年4月から、「持ち歩けるカヌレ」というコンセプトで「カヌレット」というカヌレ風のおやつを販売しています。この商品はSNSで爆発的に注目を集め、発売から間もない頃には売り切れが続出するなど、ヒット商品となりました。このような変わり種の登場も、第2次ブームの特徴の一つです。

写真:UHA味覚糖「カヌレット」UHA味覚糖「カヌレット」。商品名は「小さなカヌレ」の意味。小麦粉の代わりにゼラチンを使い、常温で長期保存ができるカヌレ風の菓子Photo:UHA Mikakuto