新型コロナウイルスの厳格な封じ込め策を導入してから約3年。中国の習近平国家主席は、各地で広がる抗議デモにおいて名指しで批判される存在となった。
市民が習氏や中国共産党の支配に対して直接声を上げて立ち向かうなど、習氏が3期目続投を決めた1カ月前ですら、想像もできなかった光景だ。
上海では先週末、デモ参加者が政治の変革を求め、スローガンを連呼。北京では群集が「自由」を叫んでいた。他の主要都市では、政府の検閲行為に対する抗議を示す白い紙を掲げてデモ隊が行進した。
中国の専門家は、足元で広がる市民の抗議活動によって、指導部が交代を余儀なくされるリスクは、少なくとも目先では低いと話している。とはいえ、指導部が厄介なジレンマを抱えていることは確かだ。徹底した「ゼロコロナ」政策を解除すれば、大規模な感染の波を招く恐れがあり、そうなれば指導部の信頼は地に落ちかねない。あるいは、デモ隊を弾圧して、ゼロコロナ政策を続ければ、国民の大半がうんざりしている政策をごり押しすることになる。