韓国・尹大統領が「戦闘的労組」と全面対決で物流危機、元駐韓大使が解説Photo:Bloomberg/gettyimages

厳しい経済環境の中でも
過激化する民主労総

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は、最大野党「共に民主党」に次いで、全国民主労働組合総連盟(以下、民主労総)とも全面対決に乗り出したようである。

 韓国の民主労総は、活動を通じ組合員の福利の向上を図るばかりでなく、政治闘争をも繰り広げる過激で戦闘的な労働組合である。総組合数は2032、組合員数は69万3662人ともいわれる。

 民主労総の組合活動で有名なのが現代自動車である。同社はブルーカラーも含め、平均年収が1000万円近いといわれながら、民主労総が主導して労働条件の一層の向上を求めてストを強行している。

 民主労総は、特に文在寅(ムン・ジェイン)政権時代に甘やかされ、その主張や活動ぶりは一層傲慢(ごうまん)になっている。民主労総の活動は韓国経済の足を引っ張ってきており、世界的な金利上昇、景気後退という経済環境が厳しくなる中でも強硬な主張を変えることなく、むしろその活動は過激化している。

ストライキの連鎖で
尹錫悦政権に圧力

 民主労総は11月23日のソウル大病院と国民健康保険公団を皮切りに、24日のトラック輸送業の個人事業主の組合である貨物連帯、25日の学校など公共部門非正規職労組、30日のソウル交通公社(ソウル地下鉄)労組、12月2日の全国鉄道労組など、物流・交通・教育・医療などを網羅した連鎖ストを実施・予告している。

 これは韓国社会を混乱に陥れ、尹錫悦政権に圧力をかけようとする民主労総の政治闘争と一環とみられる。特に、貨物連帯のスト突入は、製造業の製品の出荷や原材料の調達に支障をもたらすことにより韓国経済の生産・消費活動、輸出に甚大な影響を与えようとしている。

 また民主労総は共に民主党と結託して、尹錫悦政権に対する国民の信頼を失わせようと、確認されていない事実を基に尹錫悦政権の失態を報じている。それは韓国のテレビ局MBCの報道ぶりに顕著に表れている。

 民主労総の活動を押さえ込まなければ、韓国経済の再生は一層困難となろう。また、MBCは報道、表現の自由と言いつつ不正確な情報を国民に発出しており、韓国の国益を損なう事態も生じている。