中国の国旗写真はイメージです Photo:PIXTA

ウルムチで起こった火災事件で
市民がロックダウン解除の抗議行動

「わが国社会の安定は、臨界点に達しつつある。人々の忍耐力が限界に達しつつある。このまま放置すれば、想像もできない状況に陥る可能性も全く否定できない」

 先週末、社会の治安を管理する中国政府の関係者と議論していた際に、先方が伝えてきた、中国社会の現状に対する所感である。

 引き金となったのは、新疆ウイグル自治区ウルムチ市の高層マンションで11月24日に発生した火災で、少なくとも10人が死亡した。同市内の市民は実質3カ月以上の間封鎖されており、地元政府による感染拡大抑制措置としてのロックダウンが、火災からの救出を妨げた、もしくは少なくとも遅らせたために、助かる生命が助からなかったとの声が上がっている。

 25日夜、同市内で市民が集会、抗議をする様子がソーシャルメディア等で拡散された。市民たちは「解封!」という掛け声の下、火災事件の原因とされる都市封鎖を解除するよう要求し、政府の建物の前で国歌を斉唱するなど、政府に対する不満と抗議を、実際の行動で示した。

 市当局は、同日の夜に開いた記者会見で住民に謝罪し、犠牲者に弔意を表した一方で、感染対策の一環としての行動規制が原因でマンションに住んでいた住民が脱出できず、死亡したという市民による主張を否定。火災はコロナ感染者の出ていない低リスク地域の建物で発生したため、住民は下層階へ移動できたという立場を堅持している。