サラリーマンが出世競争で「負け犬」でも落ち込まなくていい理由Photo:PIXTA

サラリーマンには出世競争がつきものだ。しかし、私は「サラリーマンは負け犬でもかまわない」と思っている。その理由をお話ししよう。(経済コラムニスト 大江英樹)

本音で「仕事が趣味」
という人は、まずいない

 サラリーマンの中に時々、「俺は仕事一筋でやってきた人間で仕事が趣味だったから、他に趣味らしい趣味なんて何もない」という人がいる。私もサラリーマンを38年間やってきたのでよくわかるが、実は本音で仕事が趣味などという人はまずいない。

 私に言わせれば仕事が趣味なのではなく「出世が趣味」、すなわち仕事に没頭することによって会社に認められ、昇進することを目標にしていたにすぎない。自分自身を振り返ってみてそう感じる。

 ところが今から30年以上前の1989年、私は一冊の本に出会った。当時の私の年齢は37歳、言わばサラリーマンとしては働き盛りで最も脂が乗りきっていた年齢だ。この本は当時の私にとって、結構ショッキングな内容であった。そこに書いてあったことは、それまで自分が考えていたことが根底から覆されるような内容だったからだ。