年金改革案にまつわる
誤解や臆測が増えている
公的年金の制度は5年に一度、“健康診断”が行われる。現状の制度を今後も維持していった場合に将来に不安がないかどうかを検証する「公的年金の財政検証」だ。
前回は2019年で、ここでの報告を受けて議論が行われ、2020年に「年金制度改正法」が成立した。その多くは今年から施行されているのだが、次回の財政検証は2024年となるため、それに向けた議論が厚生労働相の諮問機関である「社会保障審議会 年金部会」で始まった。
今回の議論はまだ始まったばかりではあるが、想定される主な議論は以下の通りとなりそうだ。
(1)国民年金の保険料納付期間の延長
(2)厚生年金の適用拡大
(3)基礎年金の給付調整期間の短縮
ただ、これらの内容については誤解も多い。断片的な報道や臆測だけで雑誌やテレビなどで批判を繰り広げている人たちも多い。だが、その多くは事実を理解せず、かなり的外れなものまである。
具体的にこの制度改革が想定している内容はどんなものなのか、そしてどこに勘違いがあるのか考えてみよう。