ラジオDJとして25年、第一線で活躍し続ける秀島史香さんだからこそ見つけられた、誰でも再現できる「人が聞き入ってしまう会話のレシピ」を一冊に詰め込んだ『なぜか聴きたくなる人の話し方』からの連載。今回は、代わり映えのない毎日で、凝り固まった行動、気持ちをほぐすための方法をご紹介します。
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「手癖」ばかりになってない?
ミュージシャンの方をインタビューする際、時折「手癖」という言葉が出てきます。
これは、ギターならギター、ピアノならピアノと、ずっと同じ楽器で作曲していると、つい無意識に自分の好きなコード進行、同じフレーズばかりを弾いてしまうこと。
その結果、出来上がる曲がどれも似たり寄ったりになってしまうので、あえて慣れない楽器にふれることで新しいひらめきが生まれるそうです。
私の日々の中にも、そんな「手癖」があふれていないかな。そう思ったら、自分で自分の毎日にイレギュラー要素を入れるようにしています。
例えば、駅から家までの帰り道、打ち合わせのあと、次の仕事までの空き時間などに、いつものルートを外れて、気のおもむくままに歩いてみる。すると、「この道がここにつながっていたんだ!」「個人宅の庭に、『保護樹木』に指定されている木がある」「この名字、なんて読むんだろう」「これは自作の表札かなぁ」など、小さな発見の連続です。
私たちは意識をしないと、毎日が自動化してしまって、決まった生活圏の中で完結しがち。同じ道、同じ店、同じ飲み物。自分にピッタリの最適化されたルーティンをなぞれば、大きなハズレは起きません。ただ、その心地よさに慣れてしまうと、そこから出ようとしなくなってしまうんですよね。
「なんだか代わり映えしない毎日」は誰かのせいでも、環境のせいでもありません。他でもない自分がそう選んでいるから。そのほうがラクだから。そんな自分に飽き飽きしてきたら、週1回でもいいから、結果や最短を求めない“非日常”をつくってみる。自分が知らずに作ってしまったいつもの囲いから一歩足を踏み出せば、新鮮な何かが待っています。