行動制限が解除され、入国制限も大きく緩和されるなど、人々の生活は少しずつ「コロナ前」に戻りつつある。だが、一難去ってまた一難。ビジネスの世界では、円安や資材高が多くの企業を混乱のうずに巻き込んでいる。その状況下で、好決算を記録した企業とそうでない企業の差は何だったのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は信越化学工業、旭化成などの「化学」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
化学業界2社が
前年同期比4割超の大幅増収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の化学業界5社。対象期間は22年5~9月期の四半期(5社の対象期間はいずれも22年7~9月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・信越化学工業
増収率:48.4%(四半期の売上高7526億円)
・日本ペイントホールディングス
増収率:40.6%(四半期の売上収益3579億円)
・旭化成
増収率:13.9%(四半期の売上高6808億円)
・三菱ケミカルホールディングス
増収率:21.6%(四半期の売上収益1兆1633億円)
・東レ
増収率:19.4%(四半期の売上収益6559億円)
化学業界5社は全て前年同期比で2桁増収となった。中でも信越化学工業と日本ペイントホールディングスは4割超という大増収だった。この要因は何なのか。
次ページ以降では、各社の増収率の推移を紹介するとともに、2社が4割超という増収要因について詳しく解説する。