人々の外食頻度が減少したことで、「目的来店」を増やせる外食企業に勝ち目がありそうだ。外食業界を30年超ウォッチしているアナリストが、回転ずしからファミレス、居酒屋まで幅広く分析する。(いちよし証券経済研究所 企業調査部主席研究員 鮫島誠一郎)
値上げの成否と「ハレの日」「日常使い」需要
2022年9月以降、外食需要は回復傾向にある。一方で、食材や水道光熱費、物流費、人件費などのコストアップが続いており、コロナ禍でも売り上げ好調であった洋風ファストフード業界などを中心に、営業利益で苦戦が目立ち始めた。
22年の外食業界の特徴は、なんといっても多くの企業が値上げを実施したことだ。ハンバーガーや回転ずし、ギョーザ、カレー、うどん、ラーメン、牛丼、レストラン、居酒屋など大半の業態が値上げをした。
ただし、全ての企業で値上げが成功しているわけではない。例えば回転ずしのスシローは値上げ後、既存店客数ベースで前年同月比2割減が10月、11月と続いている。ファストフードをはじめとした「個食」に近い業態の顧客は値上げに寛容である一方、ファミリーがターゲットの業態の場合、顧客にとって価格上昇のインパクトは大きいためである。
スシローの場合、数年前まで家族4人で行くと支払い水準は4000円前後だったが、今回の値上げにより、同じ皿数だと5000円前後、一番高い皿の比率が高いなど場合によっては6000円を超える。
外食には「ハレの日需要」と「日常使い需要」がある。回転ずしチェーンは、後者として人気を博していたが、今回の値上げにより、利用頻度は減少するだろう。同じ「日常使い需要」であるマクドナルドや牛丼チェーンも価格を上げているが、回転ずしよりも価格上昇は高くないため、利用頻度が極端に落ち込むことはないとみている。
下記の表は、主な外食ブランド(または企業)について、コロナ禍前である2019年の同月を100とした場合の、既存店売上高を指数化したものだ。