ふるさと納税写真はイメージです Photo:PIXTA

「ふるさと納税はお得」「やらないと損をする」というイメージはすっかり浸透したようだ。リピーターの人も多いだろう。しかし実は、ふるさと納税には得をしたつもりで損をしているケースも少なくない。本当にお得なのか、どれくらいお得なのかは、所得・就労状況・家族構成などによって異なるのだ。「扶養家族が多いと控除の年間上限額が下がる」「転職・退職・海外赴任などに伴って控除を受けられない場合がある」「自分の住んでいる自治体に寄付しても返礼品はもらえない」など、ふるさと納税にひそむ意外に知られていない落とし穴について解説する。(アステル 岩瀬めぐみ)

ふるさと納税はお得なイメージがあるが
節税にはならない

 まず、大前提として知っておいてほしいのは、ふるさと納税をしても「節税」にはならないという点だ。

「納税」という言葉が付いているので分かりにくいが、ふるさと納税の実態は「寄付」である。自分が選んだ自治体に寄付をすることで、寄付金額から2000円を差し引いた分が所得税・住民税の還付・控除という形で還元されるという仕組みになっている。つまり、払うべき税金を前払いしているにすぎず、納税額は変わらない(減っていない)ため、「節税」「減税」にはならない。むしろ自己負担となる2000円分だけ多く支払うことになるのだ。

 ただし、各自治体は寄付を集めるためにそれぞれ魅力的な返礼品を用意している。どのみち払わなくてはいけない税金プラス2000円で地域の特産品がもらえるので、活用の仕方次第では大きく得をできる制度だといえるだろう。

 ふるさと納税の受け入れ件数は年々増え続けている。2021年度の受け入れ額は約8302億円で前年比は約1.2倍、受け入れ件数は約4447万件で前年比は約1.3倍だった。すっかり定着しておなじみになった制度だからこそ、損をしてしまいかねない落とし穴について、いま一度知っておきたい。