PHOTO: TIMOTHY MULCARE FOR THE WALL STREET JOURNAL
――筆者のビンセント・ラインハート氏はドレイフュス・アンド・メロンの首席エコノミストおよびマクロストラテジスト
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2022年、米連邦準備制度理事会(FRB)は歴史を塗り替えた。今後何年にもわたり、多くの学術論文や学位論文、内幕を明かす書物が世間の関心を呼ぶことはほぼ間違いない。中央銀行総裁にとって注目を浴びるのは大抵、最悪の結果だといえる。むしろ彼らの多くは、英国の経済学者ジョン・メイナード・ケインズの助言に従い、「歯医者と同じレベルで自らを謙虚で有能な人間だと思わせる」ことを目標に掲げるべきだと考えている。
FRBがこれほど注目を集めるのは、大きな間違いを犯したか、それを正したときだけだ。今年は両方の要素があった。インフレ率が40年ぶりの高水準に達するのを許した。そのため金融政策の転換を余儀なくされ、0.75ポイントの利上げを4回連続で実施するなど、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを2022年のうちに4.25~4.5%まで引き上げた。