誰しも悩みや不安は尽きない。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』から生まれた小説『精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。とても読みやすいオムニバス形式の短編集は、アナタの心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれるYouTube「精神科医Tomyの人生クリニック」“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!

【精神科医が教える】生きるのがつらい…不安すぎて他人に頼らざるをえない人の処方箋

過度に面倒を見てもらいたがる人

物事を自分で決められず、他人に頼ったり従ったりして、依存性が高い人がいます。たとえば転職や保険の解約などを他人に相談したとしても、最終的には自分で決めなければなりません。そう頭ではわかっていても、不安が募って自分で決断できないのです。

こうした性格を抱えている人は、すぐに変わろうとは思わないほうがいいです。もともと性格が暗い人が明るくなろうとしても、すぐには変わらないですよね。

同窓会に出席すると、以前は目立たない存在だった子が、めちゃくちゃ明るくなっていて驚いたなんてことがあります。そういう人は、きっと少しずつ考えかたや行動を変えたことによって、まるで見違えるように明るい性格に変わったのでしょう。

「なりたい自分」をイメージする

「心が変われば行動が変わる、行動が変われば習慣が変わる、習慣が変われば人格が変わる、人格が変われば運命が変わる」といわれます。これは元メジャーリーガーの松井秀喜さんの座右の銘といわれていますが、もともとはウィリアム・ジェイムズ(1842~1910)というアメリカの哲学者・心理学者の言葉のようです。

「なりたい自分」をイメージして、行動パターンを少しずつ変えてみる。でも、すぐに変わろうとせず、コツコツと続けていくことが大事です。一方で、すぐに変えられることもあります。悩んでしまって自分で決められないことは、「どっちでもいいんだ」と柔軟にとらえることです。

なにを選ぶにしても、良い面もあれば悪い面もあります。それが決められない原因の1つですが、どれだけ悩んでも絶対的な正解がないのですから、「どっちに決めてもいい」ともいえるんです。

とりあえず決めてみて
決断をぶらさない練習

100%絶対の正解がわかっているのなら、悩むことなく決断できるはず。そうでないからこそ悩んで決められないのです。それなら「とりあえず、どちらかに決めてみる」というスタンスでいいんだということを知っておいてください。

そして、大事なことは一度決めたら、その決断をとりあえず変えないこと。一度決めたら、そのことを考えないようにして、時間がたってから「もし不都合が生じたら変える」というふうにしてみましょう。だから、とりあえずでいいので、どちらかに決めてみるくらいに考えましょう。

自分が苦手なことを避けていると、心理的抵抗がどんどん高まるし、後まわしのことが増えて悪循環になってしまいます。“とりあえず”さっさと決めてみる。そういう練習を積み重ねるしかありません。

「やっぱり、これにする」
と自分の決断を覆さない

依存性パーソナリティ障害を抱える人のなかには、みんなと一緒にランチに行っても、なにを食べたらいいか自分で決められないというケースもあります。「ランチくらい自分で決めればいい」と頭ではわかっていても、そういう些細な決断にも「失敗したらどうしよう」と不安が生じてしまうんです。

だから、「どのメニューを選んでも、たいした失敗にはならない」と思うことからはじめて、“とりあえず”さっさと決めてしまう練習をします。そして、「私はこれにする」と決めたら、ほかの人が違うものを注文しても「やっぱり私もこれにする」なんて自分の決断を覆さないことです。

決めることをルール化してみる

自分の不安感に慣れるしかないですし、そういうことをひたすらくり返していると、人間は慣れてくるものなんです。

筋トレと同じようなもので、毎日同じ重さのダンベルを上げ下げしていると、その負荷にだんだん慣れてきて、いずれ軽く感じてくるようになります。これと同じように、些細な決断をどんどんくり返すことで、自分を慣れさせる。行動が変われば、習慣が変わり、やがて人格さえ変わる。“とりあえず”決めて、変えないことをルール化してみてくださいね。

本稿は『精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方』(ダイヤモンド社)の著者が日々お届けする“心のサプリメント”です。