自動車価格下げ止まらず、米メーカーの利益直撃Photo:Mario Tama/gettyimages

――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 現金払いが可能なごく少数のラッキーな人々には、自動車を購入する条件が徐々に改善してきている。同時に、この取引の反対側にいる企業の条件は悪化しつつある。

 米国の中古車卸売価格の指標「マンハイム中古車価格指数」は2022年を14.9%の下落で終えた。これは年間の下落率としては過去最悪であり、年初に自動車流通関連サービスのコックス・オートモーティブが予測した3%低下をはるかに上回る数字だ。12月の同指数は季節要因等の調整後に小幅に上昇し、12カ月連続の下降傾向に歯止めを掛けたが、コックスは9日、これが底になるとは考えていないと述べた。同社は今年、金利上昇が消費者の購買力を弱め、下半期には市場が正常な均衡に近づく中、指数がさらに4.3%低下すると予想している。

 新型コロナウイルスの大流行で販売台数が指標として頼りにならなくなってから、マンハイム指数は米自動車セクターの潜在力を測る先行指標として有効に機能してきた。2020年春に同指数は急伸。景気刺激策に支えられ、消費者の需要が高まったものの、すぐに販売車両不足に陥ることを予兆していた。まずはロックダウン(都市封鎖)、その後にサプライチェーン(供給網)問題が生産の障害となり、価格は上昇を続けた。2021年には、同指数は47%上昇という前例のない伸びをみせた。