日本初の頭専門のもみほぐし店として、2008年に開業した「悟空のきもち」。創業から14年たった今、全国に5店舗を展開し、全店数カ月先まで予約が取れない“超”が付くほどの人気店となっている。世間では「店舗数が少ないから予約が取れないように感じるのでは?」といった声も聞こえるが、果たして実態はどうなのか。同店を運営するゴールデンフィールドの代表・金田淳美氏に、支持され続ける店づくりの秘訣(ひけつ)を聞いた。(清談社 鶉野珠子)
ゼロからの出発だからこそ
型破りな発想が生まれた
今や“日本一予約が取れない店”と呼ばれる、無水ヘッドスパ専門店「悟空のきもち」。現在、全店で3カ月先まで満席状態で、キャンセル待ちの人数は70万人近くに上る。
同店が誕生するまで、リラクゼーション業界に「頭だけをほぐす」という店はなかったそうだが、そもそも未開の分野を開拓しようと思ったきっかけは何だったのか。
「私は元々監査法人で会計士をしていたのですが、IT産業の成長により、ワークスタイルが変わりつつありました。そんななか、私自身も日々のデスクワークにより頭の疲労や重さを日頃から感じるようになり、仕事に集中できなくなっていたのです。人々の働き方が変わっていけば疲労の感じ方も変わるでしょうから、疲れを癒やす方法も変えていったほうがいいはず。そう思い、自分と同じ悩みを抱えている人に向けて、頭や脳の疲労を取り除くことに特化したサービスを提供しようと思ったのがオープンの経緯です」(金田氏、以下同)
頭専門のもみほぐし店を立ち上げようと決意した金田氏であったが、会計士として働いていた彼女に、リラクゼーションの知識は皆無だった。日本はおろか、世界のどこにも、頭だけをほぐすサービスを提供している店はない。知識も前例もない状況だったが、「むしろ知識がないことがプラスに作用しました」と、明るく応えてくれた。
「その頃、『頭のもみほぐしは全身リラクゼーションのコースの一部』という認識が、リラクゼーション業界の常識のようになっていました。もし自分がそのことを知っていたら、その常識にとらわれてしまい、『60分間、頭だけをもみほぐすサービスがあったらどうなるのか』なんて発想は浮かばなかったかもしれない。素人だったからこそ、目新しいアイデアが浮かんだのでは、と思います」