今、「学校に行かない子どもたち」が、とても増えています。小・中学校の長期欠席者は41万人(うち不登校が24万5000人・令和3年度)にのぼり、過去最高を更新しています。本連載では、20年にわたり、学校の外から教育支援を続け、コロナ禍以降はメタバースを活用した不登校支援も注目される認定NPO法人「カタリバ」の代表理事、今村久美氏の初著書「NPOカタリバがみんなと作った 不登校ー親子のための教科書」から、不登校を理解し、子どもたちに伴走するためのヒントを、ピックアップしてご紹介していきます。
「不登校」「長期欠席者」は親世代の頃と比べて激増している
「不登校」の話題を、最近よく、耳にしませんか?
また、わが子が不登校だという皆さんも、「実はうちだけではなく、クラスに何人も……」という状況ではないでしょうか。
私たち親世代が小・中学生だった頃、学校に行っていない子は学年に1人いるかどうかだったような記憶があります。
しかし、「はじめに」でも書いた通り、今、不登校の子どもたちの割合は、40代の人が小・中学生だった1991年に比べて、5倍以上にまで膨れあがっています。
文部科学省(文科省)は、年間30日以上欠席している子どもたちを「長期欠席者」としてカウントしています。
ここに該当する子どもたちは、今、過去最多の約41万人。
そのうち、病気や経済的な事情ではなく、「不登校」を原因に学校を休んでいる子どもたちが約24万5000人と、圧倒的多数を占めています。
また、不登校の子は小1から中3まで、学年が上がるほど、増えていきます。そして、90日以上の欠席者が、不登校の子どもの半数以上を占めています。
どこからどこまでが「不登校」?
この数字を見るだけでも、不登校が激増していることはお分かりいただけると思いますが、ただ、何をもって「不登校」とするのかは、状況によっても、校長判断によっても異なります。
たとえば、欠席日数は多いものの「年間29日」だったという子、学校には来るけれど教室には入らずに保健室で過ごす子、給食だけ食べに来て帰る子などは、「不登校傾向」ではあるものの遅刻・早退として扱われ、「不登校」としての24万5000人にも、「長期欠席者」としての41万人にも入っていないことがほとんどです。
さらに言えば「不登校」としてカウントされていない「長期欠席者」の中に、学校でのストレスが原因で体調を崩してしまった子どもたちが含まれていてもおかしくありません。
その子たちを「不登校」にカウントすべきなのかどうか、これもまた基準は曖昧です。
数字に現れないたくさんの子どもたちも
つまり「長期欠席41万人・不登校24万5000人」という数字はあくまでも文科省の「定義」に合う子どもたちの人数であって、その裏には「毎日朝から夕方まで教室で過ごしているわけではない」という子どもたちが、少なからずいるのです。
この数字を見るだけでも、いつ、誰が、どんなきっかけで不登校になっても、決しておかしくない時代なのだということがお分かりいただけると思います。
*本記事は、「NPOカタリバがみんなと作った 不登校ー親子のための教科書」から抜粋・編集したものです。