東西冷戦末期の軍備管理構造は崩壊しつつある。その最新の証拠を示したのは、他ならないバイデン政権内の真の軍備管理信奉者だった。米国務省は今週、連邦議会に対し、米国とロシアの核軍縮条約「新戦略兵器削減条約(新START)」に規定された査察をロシア側が拒否していると報告した。ジョー・バイデン大統領が就任後の早い段階でこの条約を延長したことを考えると、これは苦々しい告白だろう。新STARTは、両国それぞれの配備済みの戦略核弾頭数を1550発以下に制限している。米国とロシアは昨年11月にカイロで会合を開き、同条約に規定された定期的な協議を行うことになっていたが、ロシア側がこれをキャンセルした。国務省は、ロシアが昨年、条約で定められた制限を守った「可能性は高い」ものの、核弾頭に関するロシアの申告について現地査察を行うことが認められなければ、実際に順守したかどうかは定かではないとの見方を示している。
【社説】ポスト冷戦の核軍備管理の終焉
冷戦後の諸条約は中ロの歯止めとならず
有料会員限定
あなたにおすすめ