2016年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの奇跡』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。

ありがとうの奇跡Photo: Adobe Stock

「どうしたら人に喜ばれるか?」を考えて生きる

「自分の職場に不満があって、何もかもがうまくいかなくて悩んでいる」という男性がいました。

 私が、

「あなたは今まで、『自分がいかに満足するか?』については、たくさん考えてきたのでしょう。でも、『まわりの人にいかに喜ばれるか?』を考えたことはありますか?」

 と聞くと、「えっ!」と小声で叫んだきり、黙ってしまいました。

 宇宙の構造は、すごく簡単です。自分が一度も「喜ばれよう」としてこなかったのに、「自分の思い通りになってほしい」と叫んでも、かないません。

 私がこの方に、

「『人が喜ぶようなこと』を投げかけてこなかったのだから、自分が喜べる現象が起きるようにはなりませんよね。あなたは今まで、『自分が楽しくなるように、世の中や自分の周囲が変わってくれるべきだ』と、ずっと思ってきたのではないですか?」

 と言うと、「そうです…」と答えました。

 自分が宇宙に対して「喜ばれること」を投げかけていないのなら、返ってくることはありません。

 おもしろいことに、「要求している人」ほど投げかけていない。宇宙の構造がわかっていないから、要求ばかりするのです。

 楽しいことがたくさん降ってくる人生を送りたいのであれば、「自分のほうからたくさん投げかけること」です。

「投げかけたものが返ってくる」のです。人に喜ばれれば喜ばれるほど、喜びがたくさん降ってきて、自分の人生がどんどん楽しいものになっていくでしょう。

 多くの人は、仕事がうまくいかないとき、「どうしたら、思い通りの結果が出せるのか?」「どうしたら、売上が上がるのか?」「どうしたら、お客様が集まってくれるのか?」と考えますが、このように問うこと自体が間違っています。矢印が逆です。

「いかに自分がいい思いをするか?」、ではなくて、「どうしたら人に喜ばれるか?」だけを考えていればいいのです。

村民の1500人以上が参加したお葬式
亡くなったおばあさんがやり続けたこと

 人口3000人ほどのある村で、78歳のおばあさんが亡くなりました。葬儀をあげたところ、なんと村民の半数以上(1500人以上)が参列したそうです。

 このおばあさんは、小学校の先生をしていましたが、ほかにはとくに目立ったことはしていません。ではなぜ、これほどたくさんの人に惜しまれたのでしょうか。

 このおばあさんは、小学校の先生をしているときも、退職したあとも、首尾一貫してやり続けたことがあります。

 それは、「教え子のお店でしか、ものを買わなかった」ことです。教え子のお店よりも安く買える大型スーパーやディスカウントストアが新しくできても、行かなかった。

 おばあさんは、いつでも、「教え子を応援する人」でした。

 どこでもいいから1円でも安く買うのではなく、「喜ばれるお金の使い方」をした。その結果、おばあさん自らが「喜ばれる存在」になっていました。

 すべてのことは「思い通りにならない」ということがわかって、「思い通りにならなくてもいいんだ」と気づいた瞬間から、ものすごくラクになります。

「思い」を持たないで、「よき仲間からの頼まれごと」を「はい、わかりました」とやっていれば、結果として、ものすごく楽しい人生が味わえます。

 人間の生きる目的とは、頑張ることでも、努力することでも、何かを成し遂げることでもなく、「いかに喜ばれる存在になるか」なのです。