2016年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの奇跡』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。

ありがとうの奇跡Photo: Adobe Stock

「徳」を積む方法とは、
相手のラッキーを一緒に喜んであげること

 人から「こんなラッキーなことがあったよ」という話を聞いたときに、聞いた側の人間には、「2つの反応」があります。

 ひとつは、嫉妬したり、妬んだりすること。

 もうひとつは、「よかったね」と一緒になって喜び、祝福してあげられること。

 お釈迦さまは、「随喜功徳」という教えを残しています。

「随喜」とは、「心の底から喜ぶ」「心の底から嬉しいと思う」こと。「功徳」とは、徳を積むこと(善行を重ねること)です。

 つまり、「随喜功徳」とは、「人の喜びや幸せを一緒に喜んであげるだけで、自分が徳を積むことになる」という意味です。

 ということは、「今日は、こんな楽しいことがあった」という話を聞いたら、ただひたすら「よかったね」と言っているだけで、「徳」を積み重ねていけるわけです。

 さらに、他人の幸せを「我がことのように喜ぶ」ようにすると、嫉妬心を克服することもできます。

「良き仲間」がいれば幸せを感じられる

「小林正観と行く国内ツアー・海外ツアー」というものを、年に何回か行っておりました。

 その参加者は、すでに私の講演会を聞いたり、本を読んだりしてくださっている方々だけなので、旅行中、「不平不満・愚痴・泣き言・悪口・文句」を言う人が、ひとりもいません。

 旅行の間は、「こんな素敵な景色を見た」「こんなおもしろいことがあった」という「楽しい会話」ばかり。日常の中に喜びを見つける訓練をしている「よき仲間たち」です。

 いつも、ほとんど、いきあたりばったりの旅行なので、ときには思い通りにならないことや、予定外のことも起きます。

 しかし、誰も文句を言わないし、むしろ「予定通りにいかなかったおかげで、かえっておもしろい体験ができた」と肯定的にとらえています。

 添乗員さんに対して威張りたがる人や、自分勝手な行動をする人、飛行機の時間が遅れると苦情を言う人も、ひとりもいません。

「よき仲間」との旅行は、「よかったね」と喜び合うことの連続です。すると、それだけで「徳」を積んでいるわけですから、こんなに、すばらしいことはありません。

 そう考えると、「よい旅」とは、どこへ行くかではなく、「誰と行くか」によって決まることがわかります。

「よき仲間」に囲まれていれば、どこへ行っても楽しいし、また同時に、「特別にどこかへ行かなくても楽しい」のです。どこかへ行くから楽しい、のではなくて、「どんなところでも楽しい」のです。

「人生」も旅と一緒ですから、これは、「旅」を「人生」に置き換えても、まったく同じことがいえます。

喜び合える人間関係(よき仲間)に囲まれて人生を歩んでいける」ならば、淡々と過ぎる普通の日常であっても、充分に幸せを感じられるのではないでしょうか?