つながりをどうつくっていけばいいか
個の関係性に見る「3つのフェーズ」
本連載では、経験学習を軸にして、これがマネジメントの領域でどのように活かされるかについて見てきました。また、経験学習は1人で行うのではなく、仲間と行うことが効果的であること、そこで強固なつながりができることも見てきました。
今回は、つながりをどうつくっていくかについての具体的な場面を、心理的な作用に関する解説を交えながら、じっくりと考えていきたいと思います。
つながり、すなわち個と個の関係性には3つの成長フェーズがあります。これは対話の場面で端的に知ることができます。私と松尾教授との対談の中でも触れましたが、仲間と対話するときの主語が、関係性の変化とともに変わってくるのです。我々ジェイフィールが行っているリフレクション・ラウンドテーブルという経験学習の場でも、如実に現われます。
最初は、第三人称で語ります。「あのプロジェクトは……」「3年目の部下が……」というように、自分以外の何かを主語にします。会社に対する不満が多いときは、例外なくと言っていいほど、経営陣や人事部の悪口となります。「彼らは、何もわかってない」「彼らの判断は間違っている」など、「ベンチがあほやから」的な発言が噴出してくることが少なくありません。
聞いている側も同感する部分が多く、同調して「そうそう、やってられないよね」と呼応します。第三者を主語にして、そこに責任を転嫁すると、話し手も聞き手も傷がつかず、溜まったものを吐き出すことができて清々します。
こうした場面は好ましくない光景ですが、今日に至るまでの過去の蓄積の結果ですから、ある意味必要悪とも言えます。私はこういう現場に直面すると、同調することはありませんが、否定もしません。批判そのものを否定せずに(残念ながら事実であることも少なくありませんので)、いったん受けとめます。
第2フェーズは、主語が自分(第一人称)になります。溜まったものを吐き出した後に、「でも、これからどうしましょうか?」と落ち着いた頃に投げかけてみます。人によって気づきのタイミングはそれぞれですが、「愚痴を言っていても始まらない」というところに行き着きます。「自分はどうするか?」という問いに気づくと、自分が何をすべきなのかを考え始めます。