Web会議だらけの業務は健康に心身ともに悪影響
突然だが、在宅勤務でテレワークをしている人の中に、こんな経験のある人はいないだろうか。
朝からWeb会議が6つも入っていて、ひとつの会議から退出してすぐに別の会議に入室というハシゴ状態。自宅でパソコンの前に座っているだけなのにグッタリと疲れて、なんだか心まですり減っているよう気がする。
「ワークライフバランスが向上しているはずなのに変だな」と首を傾げる人もいるだろうが、それは気のせいなどではない。このような「つめこみすぎたWeb会議」が従業員を疲弊させているという問題は、実は世界中で報告されているのだ。
有名なところでは、Cisco Systemsが2021年10月に発表した「Hybrid Work Index」だ。これは同社の製品のユーザー企業を対象に収集した匿名データと、34カ国のCIO(最高情報責任者)、IT製品導入の意思決定者、従業員約3万9000人を対象としたもので、新型コロナウイルスの世界的流行を受けてテレワークに切り替わった後の働き方に関する調査結果をまとめたものだ。
このレポートによると、Web会議出席者の約48%が会議で発言していないという。同社はWeb会議の数が多くなり過ぎて、従業員がバーンアウト(燃え尽き症候群)に陥っていることを原因の一つに挙げている。
この「多すぎるWeb会議」は働く人のメンタルだけではなく、身体の健康面にまで悪影響をおよぼすという。
健康づくりを専門に長年研究を続けて、日本医師会運動・健康スポーツ医学委員会委員長も務める、津下一代・女子栄養大学特任教授はこう指摘する。
「在宅勤務でテレワークが多くなり過ぎてしまう、いわゆる“Web会議のハシゴ”のような状態というのは、オフィスで働いている時ではありえないような“体に悪い働き方”です。これを続けていると健康を大きく損なってしまったり、生活習慣病の発症・悪化のリスクを高めることが心配されます。」
通勤時間が省かれることで、働く人の心と体に余裕ができるはずの在宅勤務でのテレワークが、なぜ健康を害してしまうのか。