怒鳴られたら、やさしさを一つでも多く返すんです!
もちろん、このお話で私はみなさんに体を張って対決することを勧めているのではありません。
警察からも危ないときには、まず警察を呼ぶように指導されてきました。
私がお伝えしたいのは、そこではないのです。
このような体験を幾度も繰り返してきて、私が学んだのは人間関係の真理でした。
それは、幼いとき父に教えてもらったこと、
怒鳴られたら、やさしさを一つでも多く返すことなのです。
まるで幼稚園で教わったようなシンプルな教えですが、どこででもでき、誰にでも適応できる「人の心を変える」方法です。
勘違いしがちですが、やさしさは、その人の言うとおりにしてあげることでも、機嫌を取ることではありません。
怒りの奥底にある、その人のありのままの人間性を信じ、信頼することです。
つまり、やさしさには強さがともなうということです。
最初は難しいかもしれません。
でも、日本刀を振り上げている男性が確かに私の目の前で奇跡のように心を開いてくれました。
もちろん、うまくいくことばかりではありませんが、やさしさがどれほど強いのかは身にしみて感じています。
誰だって、やさしさが嫌いな人はいません。怒号を浴びせてくる人もクレーマーもスタッフも、みんなどこかでやさしさを望んでいるのです。
私の命を取ろうとした人が、私を信頼してくれるようになる。
こうやって経験を積み重ねて、これだけは言えます。
やさしさは無敵です。
相手に合わせて怒ってしまえば、怒りは増幅される。
でも、相手よりたった一つやさしさがまされば、相手から怒りを消すことができるのです。
一緒に怒りますか? それとも一緒にニッコリする努力をしますか?
クレーム対応も、人間関係も、究極はそのどちらかの選択だということができるでしょう。一緒に怒ってしまった時点で、私は私の感情に負けたと思っているんです。
誰もがいらだち、苦しみ、孤独感にあえいでいます。
だからこそ、まず私から始めたい。誰もがやさしくできないのなら、まず私からやさしさを与えたい。
私は、こんな時代にもかかわらず、いえこの時代だからこそ、本気でそんなことを考えているのです。
私のたった一つのやさしさが、ほかの人にも伝染して、少しずつやさしい人の増える世の中になればいい。
クレーム対応とは人助け。
笑われてしまいそうですが、私は大まじめにそんなことを考えています。