ANA5割、JAL8割の「大増収」もコロナ前比の“復活度”は?Photo:PIXTA

新型コロナウイルス禍に円安、資源・原材料の高騰、半導体不足など、日本企業にいくつもの試練が今もなお襲いかかっている。その中で企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はANAホールディングス、日本航空の「航空」業界2社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

絶好調に見える航空2社だが
コロナ前比での復活度は?

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の航空業界2社。対象期間は2022年8~12月の直近四半期としている(2社とも22年10~12月期)。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・ANAホールディングス
 増収率:52.5%(四半期の売上高4679億円)
・日本航空
 増収率:86.2%(四半期の売上収益3871億円)

 航空業界の主要2社は、ANAホールディングスが5割超、日本航空が8割超の大幅増収となった。だが両社の増収は、新型コロナウイルス感染拡大によって大打撃を受け、大幅減収に陥った3年前からの反動増の一環にすぎない。

 そのため本連載では、航空2社が数字上は驚異的な四半期増収率を記録していても、実際の業績はコロナ前の水準に戻っていないことを繰り返し指摘してきた。

 両社の業績は、いずれも21年4~6月期(22年3月期第1四半期)から7四半期連続で増収を成し遂げており、その全てが2桁または3桁の大幅増収である。

 では、コロナショックからの「真の回復度」はどのような水準にあるのか。

 次ページでは、航空2社における売上高・旅客数の回復状況を、時系列データを踏まえて詳しく解説する。