【ブエノスアイレス】ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナ侵攻を命じて以降、多くのロシア人妊婦とパートナーがアルゼンチンに移住している。孤立を深める独裁国家から遠く離れた場所で新たな生活を築きたいという思いからだ。
アルゼンチン政府の移民統計によると、2022年1月以降に到着したロシア人は2万2000人超で、その多くは中・上流階級だという。当局者の話では女性の数が増えており、アルゼンチンで出産する人もいる。同国で生まれた子どもには直ちに市民権が与えられる。両親は一時滞在が認められ、労働許可証も付与される。
「娘はここで生まれ、アルゼンチン人になる」。モスクワ出身のポリーナ・シュテイネルさん(31)はそう話した。昨年5月に夫婦でタイのバンコクに移り、その後メキシコやブラジル行きも検討したが、ブエノスアイレスを選んだ。2歳の息子も一緒で、シュテイネルさんは出産間近だ。