アルツハイマー病患者の脳に蓄積したアミロイドを除去すれば、進行を遅らせることが可能かどうかを科学者は議論してきたPHOTO: LIZ SANDERS FOR THE WALL STREET JOURNAL

 アルツハイマー病の原因物質や治療法に関する有力な説をめぐり、エーザイの新たな認知症治療薬の成功が、数十年来の論争を沈静化するのに一役買っている。この説の提唱者は勝利を宣言し、かつての懐疑論者の一部は意見を変えている。

 多くの科学者は1990年代初め以降、アルツハイマー病患者の脳内に沈着した「アミロイドβ」と呼ばれるタンパク質の塊を除去すれば、病気の進行を止めたり反転させたりはできないとしても進行を遅らせる可能性がある、と考えてきた。この説のもとになった「アミロイド仮説」は、アミロイドが脳に異常に蓄積すると、それが主な引き金となって複雑な神経変性プロセスを誘発し、やがてアルツハイマー病発症に至るというものだ。

 製薬業界はこの説に飛びつき、アミロイドを攻撃する薬の開発に乗り出したが、最近までことごとく失敗に終わっていた。2004年から21年の間に二十数種類の薬が臨床試験段階で挫折し、そのたびに医師や科学者の間で抗アミロイド薬が果たして有効なのかという疑念が高まった。