行動経済学は、損をしない、得をしたい、お金を増やしたいという目的のための道具です。そしてお金はなんのために得たいのかといえば、最終的には「幸福」のためではないでしょうか。前回に続き、ポーポー・ポロダクションの『ゼロからわかる 知らないと損する 行動経済学』(日本文芸社)から、幸福感のある形でお金をどう増やすのか、どう使うのか、行動経済学を基に考えていきます。
「収入が上がったら幸せになれる」はウソ?
●収入上昇と幸福度は必ずしも一致しない
多くの人は収入が上がると幸福感も上がると思っています。しかし内閣府の調査によると、1960年代からGDP(国内総生産)が上がっても幸福度に変化は見られませんでした。
日本の大学の調査によると、世帯年収が100万円、300万円と上がっていくと幸福度も高まっていきますが、700万円程度で止まり、900万円にかけて下がったり再び上がったりしますが、1500万円を越すと幸福度が低下する現象が見られます。お金をもつことで、新しい仕事のストレスが生まれるなど苦しみが増える影響と考えられます。
研究者や調査によって850万円や3000万円が頂点だったり、収入と幸福度の間には、ほとんど関係がないと考えている人もいます。
●人は他人と比較して幸福感を得る
収入と幸福度の関係は、自分の給料だけでなく他人との比較によってつくられることがあります。これを「相対所得仮説」といいます。
みなさんは同僚の給料や、似た仕事をしている他の人の報酬は気になりませんか。