コロナ禍のリモートワークなど、オンラインコミュニケーションが増えたことで、対面でのコミュニケーションに苦手意識を抱える人が登場しています。どうすれば人を引きつけられる話し方ができるようになるのでしょうか。経済ニュースキャスターとして活躍するDJ Nobbyさんと、『新時代の話し方』著者であり、Voicy代表の緒方憲太郎さんが、自分らしさで人を魅了するような「話す力」について語り合いました。(本記事は、DJ NobbyさんのVoicyチャンネル「きのうの経済を毎朝5分で!」で公開された対談内容を記事化しました。構成/谷本明夢)

人前で緊張せずに話せるようになる意外な思考法Voicyチャンネル「きのうの経済を毎朝5分で!」をするDJ Nobbyさん

人前で緊張せず話すコツは
「いつも通りの自分を出す」こと

DJ Nobbyさん(以下、DJ Nobby) 私が初めて緒方さんに会ったのは、まだVoicyが、渋谷駅のすぐそばの小さなビルに入っていた頃のことでした。その時はまだ、世間におけるVoicyの認知も全然ありませんでしたよね。

 その時に、1対1で緒方さんにVoicyをオススメしてもらったんですが、その時はVoicyも知らないし、緒方さんのこともあんまり知らなかった。そんな状況でも私が緒方さんと一緒にやろうと思ったのは、緒方さんが話してくれた内容に、大きな夢を感じたからです。

緒方憲太郎(以下、緒方) うれしいですね。

DJ Nobby 相手に夢を感じさせるように話すことは、ベンチャー起業家にとっては、1番重要なスキルな気がします。まだないものを、あるかのように見せてしゃべる必要がありますから。

「この人なら、何かやりそう」という期待感を持たせることも、コミュニケーション能力の一つなんだと思います。

緒方 よく「人前で話すときに緊張しないんですか?」と聞かれるんです。でも、緊張することで、聞き手にとってプラスになることって、何もないです。相手の立場になって考えてみると、話し手が自信をもっていたり、楽しそうにしていたりした方が、安心して話を聞くことができます。相手の気持ちになって、相手がくつろげるように話を届けていく。それを実践していれば、緊張するようなことはないですよね。

「緊張する」というのは、相手に自分のローパフォーマンスなところを見せることでもあります。それは相手にも失礼ですよね。だからこそ、話し手はどこかでマインドチェンジをしないといけないんです。例えば「有名人の結婚式に出て、緊張してもうガチガチでした」ということがあったとすると、その事実は相手にとっては全然嬉しくないわけですよね。緊張するよりも、くつろいでほしい、と思うでしょうし。

DJ Nobby そうはおっしゃいますが、やっぱり人前で話すのは緊張しますよね。それは慣れていくしかないのでしょうか。

緒方 繰り返しますが、僕は「緊張することは相手に失礼である」と考えるようにしているんです。加えて、話すときには「最高のパフォーマンスを出そう」とは考えないこと。そうではなく、自分らしく自然体で話す方がいいと思っています。

「その人らしさ」が魅力になる

DJ Nobby 2022年の10月に開催された「Voicy FES2022」に出演したとき、緒方さんは私に「リスナーさんはこの1~2年で、Nobbyさんのプライベートな話を求めるようになってきましたね」と言ったんですよね。これがすごく嬉しくて。もとは僕の伝えるニュースに価値を感じて、僕のVoicyのチャンネル(「きのうの経済を毎朝5分で!」)を聞いてくれていた人が、いつの間にか「DJ Nobby」の話を聞きにくるようになっているわけです。

 例えば先日、番組を夕方に配信したとき、「冬は白菜が余るよね」という話をしたんです。「みんなどうやって、余った白菜を食べているの?」と聞いたら、たくさんのコメントが集まりました。こんなふうに、私と個人的な話をしたい、私の個人的なところを覗きたいと思ってくれる人がいることが、すごくうれしかったんです。

緒方 巷のアナウンサーさんでも、こんなふうに個人に興味を持ってもらえる人ってそんなに多くはないですよね。だから、「Nobbyさんの話が聞きたい」と人が集まるのを見るのは、本当にうれしいですね。

DJ Nobby 緒方さんはVoicy上でこの6~7年の間、いろいろなパーソナリティさんのさまざまなフェーズを見てきていますよね。その経験から「こういう人が魅力的だ」「これが魅力的な話し方だ」という要素を詰め込んだ集大成が『新時代の話す力』なんですよね。

緒方 そうですね。Voicyのパーソナリティなど、公に誰かに向けて情報発信する人だけでなく、職場や家庭、近所付き合いでも、「あの人と話したいな」「自分の話を聞いてもらうならあの人だな」と思ってもらえる人になることが、これからとても大事になります

 僕がこの本で実現したかったことは、日本中の人が話す力を身につけて、お互いに人間関係をより良く構築できるようになること。それでもめ事が減ればベストです。

 もう一つは、この本を読んだ人が「人生好転したな」と思えるようになること。これは間違いなく実現できると思っているので、絶対、読んで損はありません。