米シルバーゲート・キャピタルは最先端のビジネスである暗号資産(仮想通貨)業界向けに金融サービスを行っていた。だが同社は非常に古くからある銀行業務の問題にぶつかった。その問題は伝統的な金融機関の投資家にも悪影響を与えかねない。カリフォルニア州に本社を置くシルバーゲートは8日、事業を閉鎖して全預金を返還すると発表した。シルバーゲートの顧客はコインベース・グローバルやFTXなどの暗号資産交換所だったが、その銀行業務の中核は実際には、こうした顧客から預金を通常のドルで預かり政府機関が発行する債券に投資するという、非常に聞き覚えのあるものだ。そこに金融機関に投資する投資家も懸念すべき理由がある。最近の記憶にある銀行破綻とは違って、シルバーゲートは高リスクの融資や複雑なデリバティブなどの不良債権を保有していなかった。その資産は、実際にほとんどが米国債や政府機関発行の住宅ローン担保証券(MBS)などの手堅いものだ。だが信用リスク、つまり返済が滞る可能性だけが銀行の直面するリスクではない。こうした有価証券には金利変動リスクもある。