非の打ちどころのない雇用統計などあり得ないが、2月分はほぼ完璧だった。米労働省が10日発表した2月の非農業部門就業者数は前月比31万1000人増と、エコノミスト予想の22万5000人増を上回った。1月の就業者数は51万7000人増から50万4000人増に下方修正されたものの、小幅な引き下げにとどまった。失業率は3.4%から3.6%に上昇したが、労働市場に参加する求職者が増えたという喜ばしい要因からだ。就業者と求職者を合わせた労働力人口が生産年齢人口に占める割合を示す労働参加率は62.4%から62.5%に上昇し、2020年3月以来の高水準をつけた。前月比での平均時給の伸びはエコノミスト予想の0.4%を下回る0.2%で、労働参加率の上昇が逼迫(ひっぱく)状態にある労働市場にささやかなスラック(需給の緩み)をもたらすという見方を裏付けた。