IRジャパン「マッチポンプ疑惑」の真相、第三者委員会が絶対的権力者にメスIRジャパンの問題事象は、「絶対的権力者」の寺下史郎氏による「強い業績プレッシャー」が影響したと調査報告書で指摘された Photo:Takeshi Shigeishi

アイ・アールジャパンホールディングスが3月7日、元代表取締役副社長の「マッチポンプ疑惑」を巡り、第三者委員会の調査報告書を公表。「絶対的権力者」にメスが入った。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

当サイトの告発スクープを受けて
持ち株会社が第三者委を設置し調査

IRジャパン衝撃の「買収提案書」入手、東京機械の買収防衛でマッチポンプ疑惑』――。ダイヤモンド・オンラインが、このスクープ記事を配信したのが2022年11月10日のことだ。

 同記事では、アイ・アールジャパン(IRJ)元代表取締役副社長の栗尾拓滋氏が21年春ごろ、投資会社のアジア開発キャピタル(ADC)代表(当時)と面会し、新聞輪転機メーカーの東京機械製作所の買収提案を行っていたと特報。ADCが同年夏以降に東京機械株を買い増したことで経営権争奪戦に発展したが、その際に東京機械の防衛アドバイザーを務めたIRJの当時の副社長が、実はADCに東京機械の「乗っ取り」を仕掛けていた、というのがその概要だ。

 この記事配信の4日後、持ち株会社のアイ・アールジャパンホールディングス(IRJHD)は「報道内容の重大性を認識し、可及的速やかに詳細な事実関係の解明を目指した調査を開始すべき」と表明。12月8日、弁護士4人から成る第三者委員会が設置され、調査報告書をIRJHDに提出したのが3月7日である。

 3カ月間の調査で、第三者委は役職員ら27人に計40回のヒアリングを実施し、アンケートやホットラインを通じて東京機械の案件以外にも調査対象を広げた。その結果をまとめた報告書は110ページに及び、主に三つの重要事実について認定している。

 その一つ目が、栗尾氏がADC代表と実際に接触し、ダイヤモンド編集部が入手した「買収提案書」を示して東京機械の買収提案を行っていたとの事実認定だ。